shizyukara2006-03-01


学生の頃に戻っている。私は雑然とした商店街を友人達とウロウロしている。もうそろそろ食事をしなければという時分になり、手頃な店を物色しているのだ。すると妙に細長いシルエットが街の空に浮かび上がっている。ずいぶんと高い、いや高いなんてもんじゃない、倒れてしまわないのが不思議なほど高いビルである。一体何階あるのだろう。聞いてみるとJAXA(宇宙航空なんだら)のビルだという。よく見ると白い外壁に大きくロゴが描かれている。物珍しいので皆で行ってみると、下の方はごくごく普通のビルだ。入り口の前で上を見上げて凄えとか高えとか騒いでいると、職員の人が特別に最上階まで昇っても良いですよと言ってくれる。こんなチャンスは滅多にない。皆大喜びでエレベーターに乗せてもらう。エレベーターに乗っているとみるみる空気が冷たく、薄くなってくるのが解る。やはりとんでもない高さらしい。やっとエレベーターが止まり、さあ着いたと展望室に行こうとすると、そこのフロアの人が実はまだ上に行くエレベーターがあり、自分はこれからそれに乗って作業をしに行くところなのだが、ついでに一緒に乗って行くかとの事。


え?まだあるの?このビルって一体…。話を聞くと、普通のエレベーターではなく、高空の大気や放射線を観測するための特殊なエレベーターなのだそうだ。せっかくなのでこれまた乗せてもらう事にする。ただ、今度は総ガラス張りで、電話ボックスが円筒状になったくらいの大きさしかない。それでも全員乗り込む事ができ、本当にラッキーですとか何とか中で話しているうちにエレベーターが昇り始め、ガラスの壁の向こうに周囲の景色がパッと広がった。


………………。周囲の空の色は深い群青色をしている。地球が丸いのが解る。それどころか地球が青い事まで解る!た、た、たたた高い!とんでもなく高い!なんなんだこのビルは!!
ビビりまくる私達を無視してエレベーターはなめらかに上り続けて行く。もはや完全に漆黒になった空の中、満天の星が見える。その星たちはプリズムを透して見た様に、七色ににじんでいた。