shizyukara2006-02-14


もう寿命が尽きかけたロボットを引き戻しに行くために東海地方の海岸へ行く。若い娘の形をしたそのロボットは何を思ったのか、関東から海岸沿いに西へ西へと進んでいるのだそうだ。ようやく場所を探し当てて話をしてみると、完全に寿命が尽きる前に海の向こうに霞む土地を見たいから自分は西へ行くのだとの事。だが組織の寿命で彼女の目はもはやほとんど見えないはずである。目は澄んではいるのだが所作は既に盲人のそれである。それでも彼女は西へ進みたい、これは故障ではないと言う。しばし問答した後に結局根負けしてしまう。


釈然としないまま自宅に戻り、私は二階の窓辺から近所にある飛行場を、飛行機が飛び立っていく様子を漠然と眺めている。
遠い陽炎の向こうに、なめらかな流線型で形作られた機体が浮かび上がっていく。あの飛行機は空を飛ぶためにあの形になったのだ。では心とは何のためにどの様な形をしているのだろう。そう思った瞬間、激しいショックと共に彼女が正しかった事を理解する。


のだけれども、起きると一体何が解ったのか…あ、あれ?