なぜか気がついたら死んでいる。どうやら不可避な事が原因で死んでいる様なので、特に未練な事があるわけではない。アレ死んぢまったよと気楽に思いながらフラフラしていると、自分には仕事がある事に唐突に気がつく。いや、何かから聞いたのかもしれないが。とにかく俺には仕事、2種類の仕事があるのだ。

その一つはある個人、もしくは人間の集団を影から見守る事である。俺が選んだのはとある反戦団体だ。とりあえずロッカーの隅などからボケーと連中を見ているだけなのだが。…………。こんな事しても見ているだけではあんまし意味が無いような気がするぞ。それに何かの拍子で俺の姿が見えてしまったらどうする。幽霊よばわりされてしまうではないか。まあ幽霊の様な物なので、「ギャー!幽霊だー!」と言われたら「ヘイ幽霊です」としか答えようがないのだが。だいたい、これはノゾキ行為に極めて近いような気がする。だったらいっそのこと女風呂を見守る事に…。ってもはや男性としての肉体を所有していないので今ひとつそのような気にもなれないのだった。正直言ってヒマである。

もう一つの仕事とは身の回りの植物を育てる事である。なんでも私が「介在」しないと植物が育たないんだそうだ。どうやら植物の発生には地面と水、光の他に「もう一押し」が必要らしい。具体的にどのような行為をするのかというと言語にし難い物があるので説明に窮するのだが、「場の雰囲気を・押す」様な感じというべきであろうか。こちらはヒマなノゾキ行為に比べてまだやりがいがあるので、観葉植物だろうが雑草だろうが何だろうがお構いなしで「押し」まくる。雑草がやたら生えるのは迷惑だぞという声もありそうだが、その様な世間の諸事情はもはや私には何の関わりもない事なのであった。


と言う様な夢を見たのだが、自分自身はとゴリゴリの宗教インチキ主義者であり、死後の生活などまず無い物と思っている。本当にへんな夢を見たものだ。やはり夢という物は事実よりも象徴を現す物なのだろう。