テレパス

shizyukara2004-10-06

最近、コードウェイナー・スミスのSF小説を再読してすっかりはまってしまった。彼の知性と無邪気さがないまぜになった世界はまるで未来に開かれた神話の様だ。


彼の小説の中にはテレパスがバンバン出てくる。読後にいちいち口を使って話さないってのも手っ取り早くていいなあと思いながら、ふと目に留まった「功殻機動隊」を引っぱり出して読み返していると、欄外に脳のアンテナ効果について触れられていた。なるほど、脳、と言うか人体には無数の毛細血管が張り巡らされているのであって、その中を鉄を含んだ物がウロウロしているのなら、ある種の「デンパ」のやり取りができても不思議じゃないのかもしれない。


そして今の人々は(少なくとも私は)その手の「デンパ」を自分の中から生まれる印象や憶測と分けへだてる事ができないのだが、そのうちある種の訓練によって誰もがある程度心を通じ合わせることもできなくはないのかもしれない。


ひょっとしたらもう既にそういう人がいるのかもしれないが、あまり気にしなくてもいいんじゃないだろか。自分の心の中を読まれたとしても他の人々とたいして変わったことを考えているわけでもないのだろうし、読み手もそんな月並みな思考にはほとほと飽き飽きしているだろうし。