実は最近までしらす干しが苦手だった。
味が良くないとかそういうことではなく、あの青黒い無数の目玉が恐ろしくて仕方がなかったのである。湯気の立つ飯の上で何百対もの死んだ目玉、それも子供の目玉が私を見ていると思うと根元的な恐怖が沸き上がってくる。さらにはその目を食わなければならないのだ。まるで自分が大量殺戮をしている様で心の一部を閉ざさなければとてもじゃないが食うことが出来なかった。
という文を今、ビールのつまみにじゃこを食べながら書いている。うまい。これは心がマヒしてしまったのだろうか、それとも成長したのだろうか。
